内容 |
巨大な恐竜たちが君臨する時代に,空を飛ぶことを目指した小さな生物がいました.その生物は他の肉食恐竜などに怯えて暮らす弱い生物でしたが,長い時間の中で翼を生やすという進化を遂げ,ついに空をとべるようになったのです.そう,この作品では恐竜が鳥に進化する過程を描いているのです. 本作では鳥類の進化だけでなく,様々な恐竜たちの進化についても描いています.体を大きくしていく竜脚類,カッコいい角を生やしたい角竜類,爪がどんどん長くなるテリジノサウルス類など...マツダユカ先生が描く生き物は,どれも愛嬌のある奴ばかり.弱肉強食の世界を必死に生きている彼らですが,なんだか愉快に思えてきます.マニアックなネタも随所に見られ,恐竜好きならニヤリとしてしまうことでしょう. |
雑感 |
子供の頃,私は結構な恐竜マニアでした.なのでこの作品を知った時,『これは買うしかない』と思ったのです.古生物をテーマにした4コマ漫画は,おそらくこれが初めてでしょう. 本作に登場する古生物ですが,かなりマニアックなラインナップです.レギュラー格にエピデンドロサウルスやインロングをモデルにした恐竜が登場するのです.そんな名前を言われても,普通の人は「?」ですよね.しかし恐竜好きにとっては嬉しくなるチョイスです. ちなみに,本作では生物の学名付きで紹介することはしていません.あくまで今まで見つかっている古生物をモデルにした生物を描いているのです.マツダユカ先生はその理由について,『生き物の進化の間の姿だから』と述べています.これは正しい選択だと私は思います.化石が見つかっている生物なんて実際に生息していた生物のほんの一部に過ぎませんから,既知の生物に囚われていたら当時の世界を表現することはできないでしょう.また,そういった情報を書いていないからこそ,恐竜のことをあまり知らない人が気にせず楽しめるようになっていると思います. マツダユカ先生の描く生物はデフォルメが強いですが,生物の特徴は上手く描かれています.なので恐竜好きの人が読むと,『これはあの恐竜がモデルだな』というのがおおよそわかります. |
小ネタ |
エウストレプトスポンディルスやオルニトケイルスのエピソードは,BBC制作の恐竜ドキュメンタリー「Walking with Dinosaurs」の影響を受けているように思います. |
私が選ぶ ザ・ベスト |
121ページ左 ギャグ要素が少ない本作ですが,この一本にはクスリとさせられました.恐竜の日常あるあるネタで笑えるのって,考えてみるとすごいことですね. |
ページ | 箇所 | 元ネタ |
5p | 共食いする恐竜 | コエロフィシスの腹部から別の個体の骨が発見され,これがコエロフィシスの幼体だと推定された.つまり,コエロフィシスが共食いしていたと考えられた.ただしその後の研究では,この骨はワニ類のものであると考えられている. |
32p |
巨大魚を襲う海ワニ |
史上最大の魚類とも考えられるリードシクティスの化石からは,海ワニのメトリオリンクスの歯が発見されている.このことから,メトリオリンクスがリードシクティスを捕食していた可能性がある. |
37p |
照れて赤くなるステゴサウルス |
ステゴサウルスの背中の板(骨板)の表面には血管の跡と思われる溝が付いている.一説には,威嚇などのために板を赤く変色させることができたとも考えられている. |
37p |
鼻に大きな1本角 |
エイニオサウルスがモデル. |
44p |
虫取り草 |
花(顕花植物)が誕生したのは白亜紀.昆虫に花粉を運ばせることで顕花植物は繁栄を遂げる. |
94p |
イクチオサウルス |
ここに描かれている海棲爬虫類はイクチオサウルスがモデルとされているが,この姿はキンボスポンディルスのような原始的な魚類か,もしくはモササウルス類に似ている. |
111p | 鼻先の角 | 最初に恐竜を発見したギデオン・マンテルは,彼の発見したイグアノドンの前肢の親指の爪を角と誤認して復元図を描いた. |
122p |
崖から落ちる角竜と肉食恐竜 |
取っ組み合った状態で発見されたプロトケラトプスとヴェロキラプトルがモデル. |
124p |
卵を温める恐竜 |
オヴィラプトルがモデル.卵とともに化石が見つかったことから他の恐竜の卵を食べていたとされ,「卵泥棒」という意味の学名が付けられた.しかしその卵はオヴィラプトル自身の卵であり,卵を守っている状態で化石となったことが判明した. |
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