恋ヶ窪プリンセスハニー

作者:いづみみなみ

巻数:2巻(完結)

出版社:竹書房

掲載誌:まんがライフWIN(Webサイト

発売日:2015/10/7~2017/1/7

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内容

 正真正銘のお姫様であるロッテは,日本の少女漫画に憧れて日本に遊学に来ました.その目的は,少女漫画に出てくるような素敵な男をゲットするため... しかしロッテの近衛兵で「姫命」のエリザは,自分以外の誰かとロッテが親密になるのが嫌で,ロッテ近づく男は殺は排除する覚悟でいました.

 庶民の感覚とはかけ離れた二人ですが,世話焼きの大家さんに面倒を見てもらいながら,日本での生活を満喫するようになります.さらに姫の希望で,二人は高校に通い始めることに...

 本作は基本的にギャグ漫画で,常識はずれな二人の行動やロッテのヤバイ妄想,それらに振り回される部下たち・・・というのがネタになります.しかし本作にはシリアスな設定も盛り込まれており,よいアクセントになっています.

雑感

 まんがライフWINで最初に読んだ時,どうにも気になった作品でした.パット見は萌え作品のようですが,実はそうではありません.本作の大きな魅力のひとつは,上の「内容」でも書いたシリアス要素です.例えばロッテは祖国で疎まれており,何度も命を狙われてきたことなどが明かされます.作品全体における比率はギャグ8:シリアス2くらいになっていて,ちょうどいいバランスだと感じます.

 そして本作のもうひとつの魅力は,大家さん&黒服3人組の存在です.正直このキャラクター達がいなければ,私は本作を購入していなかったことでしょう.大家さんは「おばちゃん最強」という言葉を体現したようなキャラで,萌え作品だったら絶対に登場しないことでしょう.ロッテ達がワケありであることを察し,詮索はせずに暖かく見守ってくれるいい人です.エリザの部下である黒服3人組は完全な脇役ですが,数少ない男成分として重要な役割を担っています.彼らの存在により,登場キャラクターが女性ばかりのキャッキャウフフ展開になることを回避できます.いち男性読者の感想ですが,彼らには結構好感を持っています.また,途中から3人それぞれにキャラ付けができてきたのもいいですね(茶髪:保護者感覚,黒髪:無気力,金髪:M気質).

 まんがライフWINは1日1本づつ公開されるので,1本単位で見ると「今回はオチが弱いな~」などと感じることもあります.しかし,単行本で一気読みするとあまり気にならないものでした.物語の進行スピードはかなりゆっくりで,この作品が今後どういう展開で進んでいくのか予測できません.これからも注目したい作品です.

私が選ぶ

ザ・ベスト

1巻29ページ「月月火水木金金」

3コマ目までの流れからは予測できないオチの付け方が秀逸.一番最後のセリフって本当に重要ですよね.

舞台訪問

1巻11pのコンビニは,恋ヶ窪駅に隣接するサンクスがモデル.


1巻12pの踏切は,恋ヶ窪駅のすぐ南側の踏切.この道路は2車線なので,真ん中を歩いてはいけませんよ(笑)