No.51 けものとチャット みずしな孝之/7巻(完結)/竹書房

 主人公の毛野本茶々は,猫と会話できる女子高生.ただし,そんな能力があっても得をすることは別になく...うるさいほどに賑やかで個性的な猫たちに絡まれて,むしろ迷惑?発情期になるとオス猫達の生々しいセクハラ発言が飛び交う事態に.猫を題材にした4コマ漫画は数あれど,これほどギャグに特化した作品は珍しいです.人間の登場キャラクターは数が少ないのですが,猫好きな生徒会長のインパクトは強烈!みずしな先生は,後に飼い犬を題材にした「いとしのムーコ」がヒットしますが,本作はその土台となった作品と言えるでしょう.


No.52 彼とカレット。 tugeneko/4巻(完結)/AMW

 大学生のイケダくんの家にやってきたのは,家政婦ロボのカレット.しかしカレットは家事が苦手でグータラしているだけ.おまけにいつも無愛想.本作は,イケダくんがカレットに振り回されながらもしだいに打ち解け合っていくハートフルコメディー...ではありません.本当は,カレットを始め登場する女の子キャラクターにイケダくんが節操無くセクハラを繰り返し,その度にボコられるという話です.どんなセクハラって,それは覗いたり捲ったり触ったり揉んだりetc... うん,もうちょっとボコっておこう.


No.53 死神さんが通りまス! 火ノ鹿たもん/1巻(完結)/ぶんか社

 突如現れた死神に,「あなたの寿命はあと7日」と宣告される.宣告を受けた者達は,残されたわずかな時間に何を思い,何をするのか―. この設定にトキメいて,中身を知らずに購入しました.オムニバス形式の作品で,様々なキャラクターが登場します.わざと読者のミスリーディングを誘う構成にしているところがニクいです.主人公の死神は新人でドジばかりしているという設定であり,それほどシリアス要素は大きくないです.書影からも分かりますが,イラストは非常に端麗です.なんだかガンガン系列の少年誌に連載していそうな作品です.


No.54 ひとりで生きるモン! 西炯子/5巻(完結)/徳間書店

 1本ごとに話が独立するタイプのオムニバス4コマです.その内容は,「自由」そして「カオス」.美麗なイラストから繰り出されるのは,切れ味鋭いギャグ,くだらないけど笑ってしまう1発ネタ,ちょっとハードな下ネタ等々...内容のほとんどはギャグなのですが,「下尾洋子」シリーズのようなキュンとする恋愛ストーリーまで収録されています.作者が描きたいものを描いた,と感じさせる作品です.本作はにざかな先生の「B.B.Joker」と近い作風ですが,B.B.Jokerほどの不条理ギャグは(あまり)ありません.ただし,作品のカオスっぷりは本作のほうが上回っていると思います.


No.55 いちごの入ったソーダ水 荒井チェリー/4巻(完結)/KR

 中学時代はヤンキー少女だった花泉月は,超お嬢様学校の高校に通うことになってしまいます.さらに学生寮でルームメイトになったのは,世間知らずな名家のお嬢様.かくして,波乱に満ちた月の学園生活がスタートします... 荒井先生の作品らしく,濃いキャラと毒のあるセリフが強烈なインパクトを残します.特に百合が好きすぎておかしなことになってる月の舎弟には毎度笑わされます.「百合っぽい作品に見せながら百合展開にはしない」というスタイルにより,百合作品が多い雑誌のカラーに合わせつつも荒井先生らしさを十分に発揮しています.


No.56 若奥様とセールスマン こいずみまり/3巻(完結)/ぶんか社

 タイトルの通り,セールスマンが若奥様のもとを訪問して様々な商品を紹介していきます.しかしそのほとんどが欠陥商品で,奥さんに「いらない!」と突っぱねられたり,セールスマンがひどい目にあったりするオチが付きます.ぶんか社作品らしく,中にはアダルトな商品も.登場人物は2人だけで,4コマ1本ずつ 違う商品を紹介し,場面は玄関先のみ,最初のセリフは「奥さん」から始まるという制約が付いていますが,ネタ切れを感じさせない面白さがあります.最終回 には「えぇ!?」となる真実が明らかになるので,お楽しみに.


No.57 フルパワーMONKEY 亜太川ふみひろ/7巻(完結)/集英社

 「大バカ不条理ギャグ漫画」という褒め言葉でこの作品を称します.本当にこの作品は,バカなことをやりたい放題にやってくれます.単行本の表紙も個性全開ですよね.好みは分かれるかもしれませんが,ハマる人はとにかくハマる作品でしょう.例えば,「うんち」と聞いただけで笑っちゃうタイプの方には馬鹿受けだと思いますよ.実際,この作品にはお下劣ネタが多いです.もちろんただ下品なだけではなく,「その発想はなかった」と読者を唸らせてくれるオチもこの作品の魅力です.しかしまあ,ギャグ漫画を文章で説明するなんてナンセンスですので,気になった方は読んでみてください.


No.58 高校の日常 ハードボイルドよし子/4巻(完結)/富士見書房

 「電気ケトルってエロいよな」「なに言ってだこいつ」「電気ケトルが女の子だとするだろ?するとこれでもかと水を飲ませたうえで,台座の付いた突起に差し込んで責め続けるんだぞ?」「なるほど」 → 実際に擬人化ケトルを作ってみた

 この話のオチがとにかく強烈で笑えるので,ぜひ読んでみてください.無料公開されている第1話のエピソードです.この二人の男子高校生が繰り広げる妄想,そして「作ってみた」の話は他にもあり,どれも秀逸です.また,BL好きの女子高生が色々勘違いしちゃう話も面白いですよ!思いっきり爆笑できるタイプの4コマ漫画です.


No.59 セカイ魔王 双見酔/4巻(完結)/KR

 物語の舞台は人間と魔物が存在するファンタジーな世界.300年ぶりに魔王が目覚め,再び人間との争いが勃発?と思いきや,魔王本人は過去の記憶が全くありません.そして,魔王の目覚めとともに現れた勇者とされる少年は一般人より弱いへなちょこ.魔王は妖精の姿をした自分の分身「マオ」を勇者とともに旅させ,様子を探ることにしたのですが... 本作はゆるいギャグ中心ですが,勇者と魔王の争いと輪廻というシリアスな話も併せ持ちます.ファンタジー作品を最後まで描き切った4コマは稀有で,評価されるべきでしょう.ちなみに魔王の見た目は可愛い女の子です.きらら作品ですからね.当然ですね.


No.60 オート/コーネル イガラシユイ/1巻(完結)/ぱれっと

 シュールなギャグがクセになる,学園4コマです.女子高生3人組と男子高校生2人組がメインキャラクターで,男女のグループで別々の話が展開されていきます.シュール系の作品の中でもイラストが丁寧で,若い人向けに描かれています.少し独特な雰囲気のある作品なので,好みの分かれるタイプだと思います.そういうこともあってか,残念ながら単行本1巻で終了してしまいまいました.この作品が気に入っていた私としては非常に惜しいです.ぱれっとにおける「ゆゆ式」ポジションになれる逸材だと思ったのですが...


No.61 4コマ哲学教室 相原コージ/南部ヤスヒロ(文)/1巻(完結)/イースト・プレス

  4コマ×哲学書という異色のコラボ作品です.主人公は,一人の青年と一匹のブタ.「自分が何のために生きているのかわからない」と悩む青年に対し,ブタは 「俺は食われるために生きている」と話します.ブタはいつでも冷静で,客観的な事実を青年に語りかけます.それを聞いた青年がショックを受ける・・・という内容で,読者を哲学の世界に誘います.「哲学なんて興味が無い」と言う人でも,とっつきやすい一冊となっています.相原先生の漫画に,南部先生の解説が加えられています.私は正直漫画しか読んでいないんですが,それだけでもオススメできる作品です.


No.62 主任の一ノ瀬さん 楯山ヒロコ/2巻(完結)/タイム

  飲料メーカーの営業をしている一ノ瀬主任は,ズボラでサッパリした性格,そしてお酒が大好きな女性社員.普段はやる気がないようでいて,営業スキルは抜群です.上司からは喧嘩しながらも一目置かれて,後輩からは慕われています.そんな彼女には秘密があって,実は自社の会長とお友達...こんな風に紹介すると,女性読者向けの「デキるOL漫画」と捉えられそうですが,一ノ瀬さんのキャラが嫌味っぽく描かれていないため,男性読者からも好感を得られる作品だと思います.何より,上司である営業課長がいい味を出しています.


No.63 先生ロックオン! 神堂あらし/2+2巻(完結)/竹書房

  小学校の先生,門倉京子(33)と元教え子,大和一樹(20)の年の差カップルのラブコメ作品です.大和は小学生の頃から先生一筋で,10年の年を経て先生に交際を申し込む,というところから物語がスタートします.門倉先生もこれまで男性との付き合いがなく,デートの時はちょっとしたことで赤面してしまうなど,いつまで経っても初々しいです.この作品を読んでいると,『こんなに羨ましい話があるかよ~』と叫びたくなります.ただ,これまでの神堂先生の作品に比べると,本作は突飛な設定というわけでもないので読みやすい作品になっています.


No.64 ふぁんきーサーバント 桜沢鈴/2巻(完結)/竹書房

  区役所に務める伊勢崎陽子は,いつもド派手なファッションで公務にあたります.その姿はとても公務員とは思えず,まるでファッションモデルかキャバ嬢か.そんな彼女ですが,やるべき仕事はしっかりこなします.彼女の派手な格好にいつも口を出すのが,同僚の米田です.陽子とは対照的に,米田は「地味メガネ」とうフレーズがぴったり.口げんかばかりしている二人ですが,意外と息が合っているところも.作中ではお役所仕事の内情について多く触れられており,なかなか興味が湧いてきます.昼ドラ的なドロドロ話に慣れっこの戸籍課とか,実際こんな感じなのかなぁ.


No.65 本が好き子さん なるあすく/1巻(完結)/太田出版

  本が大好きで,いついかなる時も本を読んでいる女の子.彼女の名前は,本が好き子さん.読書中は,本の世界に入り込むため,周りに何が起ころうとも彼女は見向きもしません.無意識的に,超人じみた動きをやってのけるいることも.黙々と本を読んでいるので,作中で彼女はセリフを発しません.その代わり,説明セリフがかなり多いのが特徴です.途中からはもう一人の女の子が登場し,本が好き子さんとの友情物語も楽しめます.一巻完結でサクッと読めるけれども,味わい深い作品だと思います.


No.66 アフター5の女王たち 六反りょう/3巻(完結)/ツイ4

  子供の頃からいじめられてきたOL,葛西まどかは,女王様となって仕返しをしてやろうとSMバーで働くことに.バーのママに手ほどきを受け,SMの作法を学ぶまどか.しかし初日からいきなり,まどかの会社のイケメンな先輩が来店して来たのです.先輩はまどかの正体に気づかず,まどかのことが気に入って彼女の奴隷となるのです... この作品を描いた作者自身,元女王様だったそうです.私はSMバーの世界を知らないのですが,本作にはすっかりハマってしまいました.新米女王様とその奴隷がお互いに成長していく経緯がとても面白い!性的な描写はないので,安心して読めますよ.


No.67 三者三葉 荒井チェリー/14巻(完結)/KR

  大食い娘の小田切双葉,腹黒委員長の葉山照,元大金持ちの西川葉子の女子高生3人が主人公の学園コメディーです.西川家の元使用人(現在は葉子のストーカー)の山路や,山路と敵対する薗部といった脇役のキャラも非常に立っています.まんがタイムきららが創刊して間もない2003年から連載を開始し,今なお連載を続ける長寿作.連載初期とから絵柄が随分変化しており,その時代の流行に合わせていることがうかがえます.これが長く連載を続けられる理由のひとつでしょう.2015年にアニメ化が発表されたときは驚きました.また,主人公3人は12巻で2年生に進級しています.


No.68 教艦ASTRO 蕃納葱/1巻(休載中)/KR

  高校教師たちにスポットを当てた,きららにしては珍しい作品です.先生同士の絡みが描かれることがほとんどで,生徒たちはほとんど登場しません.ボーイッシュな体育教師,牧和泉とサバサバ系の養護教諭,荒井先生がメインキャラクター.新井先生は牧先生の兄と付き合っており,冷たくあしらっているようで実はラブラブという,いわゆるツンデレなお方です.たまに見せる荒井先生のデレは威力抜群で,本作の大きな特徴だと思います.とても人気のあった作品ですが,2巻が発売される前に突如連載を中断して今に至ります.先生が戻ってくることを待っているファンは多いことでしょう.


No.69 お話になりません 255/3巻(完結)/ツイ4

  ツイ4で連載していた作品で,ネタ1本1本が完全に独立した「ザ・4コマ漫画」です.登場キャラクターは棒人間のような姿をしており,どのキャラも常に同じ表情をしています.絵はシンプルですがネタはとびきりシュールでキレがあり,大笑いさせてくれます.基本的に1対1の会話でネタが成り立っていて,セリフ回しが非常に上手いです.『これは頭のいい人じゃないと描けないな』と感心してしまいます.「255式仕事術」や「今は昔」など,決まったテーマをローテーションさせています.「キャッキャのウフフ」という百合要素のあるネタだけは,可愛い女の子二人が登場する癒やし回となっています.ほんとに可愛いですよ.


No.70 ゆとりノベライズ 渡辺伊織/2巻(完結)/タイム

  ラノベ作家というなかなか珍しい仕事にスポットを当てた作品です.主人公の都ゆとりは駆け出しラノベ作家.デビュー作がすぐに打ち切りとなってしまい,常にマイナス思考が全開です.そんなゆとりの先輩,里見嵐は超売れっ子ラノベ作家.里見はゆとりのことを気にかけて先輩風を吹かせているのですが,ゆとりの実力も認めているのです.へこたれてマイナス思考になりながらも,ゆとりはそれを武器にして立ち上がります.ラノベ作家の厳しさ,喜びそして友情.本作はそれらが詰まった非常に濃密な作品です.2巻途中で打ち切りになってしまい,単行本未収録話があるのが非常に残念.


No.71 はるみねーしょん 大沖/8巻(完結)/KR

  女子高生3人の会話を楽しむ4コマ作品.香樹が話題を切り出し,はるみがボケて,ユキがツッコむ(またはイラッとする)というのがいつものパターンです.基本的にはオヤジギャグのような言葉遊びが多いのですが,たまに「おおっ!」と思わせるキレッキレのネタが繰り出してくるので侮れません.きらら作品ではありますが,キャラの表情がほとんど変わらないなど独特の作風であり,萌え要素は皆無といっていいほどです.それでも長年連載を続けていることから,多くの読者によって支持されていることがわかります.ちなみに,はるみは宇宙人です.\やべえ/


No.72 輝きジョシ子さん。 嘘空まこと/ダ・ヴィンチ・恐山(原作)/1巻(完結)/竹書房

  職場の後輩はBLとマグロをこよなく愛する腐女子...もとい,輝き系女子.「腐女子」という言葉が嫌いな彼女が自分でそう呼んでいるのです.彼女の奇天烈な発言や行動を恐山先生がTwitterに流し始めたら大ウケし(実話),ついに4コマ漫画で連載することになったのです.しかも,輝き系のジョシ子さん本人には一切内緒で・・・! 実話4コマって私はあまり好きではないのですが,この作品はハマりました.面白いです.ジョシ子さんはかなりレベルが高いお方のようですが,こんな人が職場にいたら毎日が楽しくなりそうですね.うらやましいですよ.


No.73 軍神ちゃんとよばないで 柳原満月/9巻(完結)/タイム

  「越後の虎,上杉謙信は女性だった!」という設定の戦国4コマです.越後の国の姫,虎千代は毎日ゴロゴロするのが生きがいという堕落っぷり.ところがひょんなことから出陣することになった戦で大勝し,虎千代は名将と勘違いされてしまいます... 戦国武将を女性にした作品は今や珍しくありませんが,本作の大きな魅力は絵の上手さだと思います.特に女性の柔らかな体つきの描写が素晴らしいです.貧相な体型の虎千代でさえ,かなりエロっぽさを感じます.


No.74 まりあ17 むんこ/3巻(完結)/タイム

  むんこ先生が描く女子高生4コマ.主人公のまりあは絶世の美少女なのですが,中身は競馬とプロ野球が好きなオッサンなのでした.まりあは母親と二人暮らしなのですが,その母親も大の博打好き.パチンコや競馬になけなしの金を突っ込んで,極貧生活に陥ることもしばしば.女子高生×ギャンブルという,これまでのむんこ作品とは違った要素の多い作品です.登場キャラクターはどれも憎めない人ばかりですが,中には「本当にコイツはどうしようもないな」と感じる人も.2巻のラストがとても綺麗にまとまっていたのですが,3巻に突入しました.これ,作者のむんこ先生も2巻で終わりだと思っていたそうです.


No.75 古見さんは、コミュ症です。 オダトモヒコ/26巻(連載中)/小学館

  小心者の高校生,只野くんは,平穏な高校生活を送りたかった.しかし,学校のマドンナ古見さんの隣の席になったばかりに,クラスメートから目をつけられることに.古見さんは寡黙な人なのですが,実は極度のコミュ症で,人と会話することがほとんどできなかったのです.その秘密を知った只野くんは,古見さんの「友達を100人作る」という目標に協力することにします.主人公が喋らない4コマは珍しくありませんが,本作の場合「話すことができないことに深く悩んでいる」というシリアスな部分が他作品と大きく違います.頑張る古見さんと,彼女を必死にフォローする只野くんのドタバタ劇が面白い.