作者:小箱とたん
巻数:14巻+出張版(完結)
出版社:マッグガーデン
掲載誌:月刊コミックブレイド
発売日:2003/5/10~2019/9/10
内容 |
高校に進学した主人公の梶原空は,極度の引っ込み思案.そんな空が入部した美術部は,少し変わった生徒たちが集まっている部活でした.虫を始め生物全般に詳しい栗原先輩,不思議な行動をとっては周りを困らせる空閑先輩,脈絡もなくコントを始める涼風コンビなど.2巻からはカナダから来たケイトも加入し,美術部員たちの賑やかな日常が繰り広げられます. 本作は,各4コマのネタが1本1本独立した形式になっています.また,美術部での活動を描いたシーンはあまり多くありません.部員同士の少しズレた会話や,日常のあるあるネタ,そして栗原先輩の生き物ネタが多いです.ストーリー形式ではないので,どこから読んでも楽しむことが出来ます. 本作の特徴として,イラストのコピペが非常に多い点が挙げられます.そのためキャラクターの動きはそれほどなく,会話で笑いを誘います.しかし一方,生物の描写は驚くほどに詳細で,図鑑に掲載していてもおかしくないレベルです. また,本作は2007年にアニメ化しています.しかしこのアニメはゆるい雰囲気を全面に出した”空気系”に仕上がっていて,原作とは作風が異なります. |
雑感 |
本作の魅力は,美術部員達の優しさにあると思います.美術部員の面々は例外なくいい人ばかりです.これといった心温まるエピソードがあるわけではないのですが, 彼女たちの普段の考えや何気ない行動は,清らかな心を持った人間でなくてはできない気がするのです.そして,決して誰も傷つかない平和な世界が,この作品内では徹底されています.このあたりは,作者の人柄が表れているように思います. しかし,彼女たちは普通の高校生とは少し変わっています.携帯電話を持っていなかったり,蜘蛛を全く怖がらなかったりする彼女たちは,おそらく変わり者として周りの高校生からは浮いた存在なのではないでしょうか?作中ではそういった描写はなく,美術部の仲間同士で平和に楽しい日常を送っている風景のみが描かれています.しかし実際には,美術部とは変わり者でクラスに馴染めない生徒たちが集まり,お互いに個性を認め合うことのできるオアシスなのではないでしょうか. 実は,これを伺わせるシーンが少しだけ描かれています.7巻で空のクラスメートの渓と高嶺が登場する回です(これは美術部員以外の生徒が初めて登場する回でもあります).この回で渓は,「空は美術部には馴染めてんのかね?」と話し,高嶺はそれに対して「あそこは変わり者多いから大丈夫なんじゃない?」と返しています.また,この二人が美術部を訪れた回では,高嶺は美術部を「変なところ」と認識した上で,「貴重な場所だよ」と感想を述べています.部員以外の生徒から美術部がどういう目で見られているのかが分かる貴重なシーンでした. ただ,基本的にこの作品は,何も考えずにサクッと読める作品でしょう.1冊を読むのに要する時間は,4コマ作品の中でもトップクラスに短いです.そのため就寝前の読書にもうってつけです.またトリビアが多く,読み進める度にムダ知識が増えていきます.さらに笑いに関してもハイレベルです.涼風コンビの切れ味鋭いコントには,何度も笑わせられました. |
小ネタ |
作者の小箱とたん先生は,スケッチブックと近い雰囲気である「あずまんが大王」をあえて読まないようにしているそうです.そのため,あずまんが大王で使われたネタがスケッチブックでも描かれることがあります. |
私が選ぶ ザ・ベスト |
3巻25ページ左「おもしろい話」 スケッチブックにおける笑いの発生源といえば,何と言っても涼風コンビ.その中でも最強の破壊力を持つネタがこちら. |
この作品が 好きなら! |
あずまんが大王/あずまきよひこ(メディアワークス) 市立鋳銭司学園高校放送部/ふじもとせい(KR) いきものずかん/もりちか(AMW) |
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