内容 |
下町の小さな寿司屋の一人娘・さくら,そして寿司職人の父・としお.この作品は,寿司屋を舞台にした温かい人間模様が魅力的な物語です. ある日さくらはクラスの友人・レイを家に招待します.レイはビジュアル系バンドのボーカルという有名人で,さくらに好意を寄せています.そんなレイは魚が嫌いということもあり,としおから大層嫌われてしまいます.さくらの方はレイを友達としか思っていなかったのですが,レイが他の女の子と仲良くしていると心がモヤモヤしてしまいます. さくらは他界した母に代わって家事をこなしているのですが,どれも上手くできません.特に料理の腕は壊滅的です.ただし本人にその自覚は全くなく,としおやレイはさくらが作った手料理を我慢して食べています.ところが,さくらは心が暗くなると達人のような料理の腕前になるのです.料理が美味しい時はさくらの気持ちが沈んでいる時なので,としおとしては料理が美味しくてもちょっぴり複雑な気分です... 全3巻のうち,1巻はラブコメ調が強いですが,2巻ではさくらの成長が描かれます.そして3巻では新キャラクターの鉄男の物語が収録されています.どの巻にも,心が温まる物語が満載です. |
雑感 |
「意外にも」というと語弊があるかもしれませんが,本作は深みのあるストーリーが魅力です.1巻の話はどれもほのぼのするものなのですが,2巻からは作品の雰囲気が少し変わってきます.例えば,レイのことが大好きなアイドルのルナ.ルナはさくらのライバル的ポジションで,とてもわがままな性格です.そんなルナですが,学校で陰湿ないじめを受けていたり,家族仲の冷めた家庭で育っていたりと暗い一面を持っていることが明かされます.ルナがさくらの温かさに触れて少し大人になっていく様子が,私はとても好きです.さくらも父子家庭で育っていますし,レイや鉄男の家族もワケありです.そんな状況でも強く生きている姿を描いた後半のストーリーには,思わず感動してしまいました.特に3巻の「鉄男編」は傑作だと思います.優しくて,ちょっぴりシリアスで,愛おしい.私が大好きなタイプの作品です. あと,私はさくらの友人のみっちゃんも好きになりました.本編では出番が少なく目立ちませんが,みっちゃんのような恋する普通の女の子は,4コマ漫画では意外と貴重な存在だと思います. |
私が選ぶ ザ・ベスト |
2巻86ページ「熱々のお茶で」 ルナに関する回の締めの一本.この話で,ルナへの好感度がグッと上昇しました. |
この作品が 好きなら! |
ロコ・モーション/藤井理乃(タイム) 頑張る主人公,優しい物語,そしてちょっぴりシリアス展開もある点が似ています. |
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