路傍のミオ

作者:小池恵子

巻数:2巻(完結)

出版社:竹書房

掲載誌:まんがくらぶオリジナル

発売日:2013/10/26~2015/3/26

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内容

 他界した祖父の跡を継ぎ,「路傍亭」の占師となった女子高生,みお.相棒の占石には不思議な力があり,人の未来を見通してみおに伝えることができます.占石の声はみおにしか聞こえないため,みおは占石の声を頼りに占いをしています.ただし占石は非常に口が悪く,いつも客をケチョンケチョンに罵倒します.気が弱いみおは,占石の言葉を上手く伝えることができずに失敗ばかりしていました.しかしお客さんの色々な悩みに触れ,経験を積むごとに少しずつ占師としての自信をつけていきます.

 占いにはいくつかの制限やタブーがあります.まず,占師は自分自身の未来を見ることはできません.また,家族や仲間は一度しか占ってはいけない,好いた者は絶対に占ってはいけないと決められています.みおの祖父は死の直前にみおの未来を占い,大爆笑して逝きました.祖父が見たみおの未来とは何だったのでしょう?その答えがわかる日は来るのでしょうか.

雑感

 作者の小池恵子先生は,「ななこまっしぐら!」や「うちは寿!」ようにほのぼのとした家族愛を描いた作品が多いです.一方で,「あれるげん。」のような毒のある作品も残しています.どちらも味のある作風ですが,「路傍のミオ」は両者の魅力が融合した作品であるように思えます.泣き虫だけど頑張り屋のみおと,毒舌を吐き散らす占石がそれぞれの魅力を引き立てています.

 占石は非常に口が悪いですが,その内容は心の奥に隠した人間の弱い部分やいやらしい部分をズバッと突いたものです.そのため,本作を読んでいると占石の言葉が自分の胸にグサリとくることがあります.いわゆる「いい話」で終わるのではなく自己啓発の要素もあり,次が読みたくなる作品です.

 小池恵子さんの描くキャラクターは活き活きとしていて,とても好きです.本作でも,よく落ち込んでしまうみおが見せてくれる,子供のような満開の笑顔にはとても癒やされます.

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ロコ・モーション/藤井理乃(タイム)