信長の忍び

作者:重野なおき

巻数:21巻(連載中)

出版社:白泉社

掲載誌:ヤングアニマル

発売日:2009/6/29~2024/2/29

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内容

 時は戦国時代.尾張の織田信長の下に仕える一人の女忍びがいました.その忍びの名は千鳥.身なりは小柄ですが,一人で大勢の武士を討ち取る程の実力者でした.この物語は,尾張から天下統一を目指す信長と戦乱の日本を,千鳥から見た視点で描いた歴史大作です.

 主人公はオリジナルキャラクターの千鳥ですが,千鳥だけでなく実在の武将たちの活躍もたっぷり紹介されています.織田信長,木下秀吉,明智光秀といった武将たちは,重野先生の手によってコミカルに描かれます.数多く登場する武将たちのキャラ付けも秀逸で,ひとりひとりに個性が出ています(甘党の信長,お調子者&不死身の秀吉,ツッコミの光秀など).明るいノリのギャグがふんだんに盛り込まれていますが,史実に基づいた内容と解説も充実していて,歴史漫画としても非常にレベルが高いです.

 ギャグばかりではなく戦のシーンも多いですし,当然何人もの人が命を落としていきます.4コマ漫画で歴史を扱った作品自体が少ないのですが,これほど多くの死を描いた4コマ作品はほかにないでしょう.

雑感

 作者の重野なおき先生はこれまでに様々なジャンルの4コマ作品を発表していますが,その中でもとりわけ特殊な作品がこの「信長の忍び」だと思います.4コマで歴史を描きつつギャグで笑いを誘うスタイルなのですが,歴史とギャグをこれほど見事に両立させた作品は本作が初めてでしょう.

 私は歴史に疎く,織田信長については桶狭間の戦いと本能寺の変くらいしか知りませんでした.しかしそんな私のような人だからこそ,「この戦いの行方はどうなるの?」とドキドキしながら物語を楽しめます.この感覚は,バトル漫画を読んでいる時の感覚と同じです.実際,本作は戦国漫画ですのでバトル漫画の要素は十分にあります.本格的なバトル4コマ漫画というのはまだ開拓されていないジャンルですが,本作がその先駆けとなるのかもしれません.

 織田信長は「魔王」と称される程,非情なエピソードの多い人物でもあります.本作での信長はまだ愛嬌がありますが,シリアスな部分もしっかりと描かれています.今後,信長の魔王ぶりがどのように描かれていくのか,そして来るべき最期はどうなるのか.続巻がとても楽しみな作品です.

小ネタ

 重野先生が描く本願寺顕如が,雷句誠先生(「金色のガッシュ!!」の作者)の自画像にそっくり.個人的にツボです.

私が選ぶ

ザ・ベスト

7巻65ページ左「善僧も」

比叡山焼き討ちの場面は非常に見応えがありましたが,特に印象深かったのがこの一本です.本当に,読む手が止まりましたよ.

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孔明のヨメ。/杜康潤(タイム)

のぶながちゃん公記/くりきまる(竹書房)

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