ボクの社長サマ

作者:あろひろし

巻数:6巻(完結)

出版社:芳文社

掲載誌:まんがタイムジャンボ

発売日:2006/7/7~2013/2/7


内容

 社長令嬢の幼い女の子,天女(あまめ)がとある事情で社長に就任.そして,天女は過去に自分を助けてくれた新入社員の小森を社長秘書に抜擢します... この作品は,天女と小森そして個性的な社員たちのドタバタ劇が楽しい作品です.

 天女は小学生とは思えぬ秀才で,社長としての業務を堂々と遂行していきます.とはいえ,まだ甘えたがり女の子.視察と称して秘書の小森とお出かけするなど,年相応の可愛らしさも見せてくれます.一方の小森は,秘書課主任の素晴田女史に目をつけられハードな特訓を課せられる日々... 秘書の仕事と関係ないこの特訓が,物語の終盤で重要な意味を持ってくるのですが,それは読んでのお楽しみ.

 物語の舞台が総合商社ということもあり(?)スケールの大きい社内イベントも盛りだくさん.ひな祭りがなぜかサバイバルゲームになっていたりと,突拍子もないネタがテンポよく出てきます.しかし妙にリアリティが高い会話が混ざり,不思議と違和感を感じさせません.これは作者が相当の実力者ですね...え?この人は!?

雑感

 作者のあろひろし先生は,元々少年誌でいくつもの連載経験があるベテラン作家で,秋本治先生のアシスタント経験もあるお方です.現実ではありえない展開のはずなのに妙なリアリティがある作風は「こち亀」に近いと思います.4コマ漫画の連載はこの作品が初挑戦だったのですが,圧倒的に面白い!テンポの良さ,効果的な構図,コマ枠の使い方,描き込まれていてかつ邪魔にならない背景...どれからも実力を感じさせます.

 さらにこの作品,というかあろ先生のすごいところが,ベテラン作家でありながらオタク要素をかなり取り入れているところなんです.天女の3Dモデルを作ってアイドル事業を展開するのなんて,まさにVtuberですし.

 作中には何人かのレギュラーキャラクターが登場します.その中で私が好きなのは音長専務ですね.名前の由来が「いい歳した大人が」である通り,天女に対して子供のようないたずら(ブーブークションや不幸の手紙)をするのに執念を燃やす人です.なお,音長専務は実力で今の地位に上り詰めたキャリアで,仕事は意外と堅実派.さらに実は愛妻家という一面も持ちます.

 私が選ぶ

ザ・ベスト

1巻91ページ左

トンデモなビル建設のお話.エスカレータに位牌を乗せて回すという罰当たりなお墓で爆笑しました.