「ハマの大魔神」こと，佐々木主浩を主人公にしたプロ野球パロディー作品です．

　作品内での佐々木は，宇宙一のストッパー．しかし性格はとにかく乱暴で，至るところでトラブルを引き起こします．「いかにもマンガらしい」表現で選手たちが動き回る，パワフルなギャグ4コマです．なお，試合中のシーンはあまり多くありません．

　作中に登場する選手たちは，強くデフォルメされ，個性あふれるキャラ付けがされています．「オレ様」な佐々木，パシリ役の斎藤隆，身長170mm（！）の万永，おバカな谷繁．．．それぞれのキャラクター性を存分に生かしたギャグが本作の基本です．

　作中で描かれている時代は，1993年から佐々木がメジャー挑戦する直前の1999年のシーズンです．1998年には横浜ベイスターズが優勝，日本一を果たしていますので，当然作中でもその快挙が描かれます．なお，「ササキ様に願いを＋」ではメジャーから日本球界に復帰した佐々木が登場します．

　今では懐かしい有名選手たちが登場し，プロ野球ファンにはたまらない作品です．本作は野球漫画というよりギャグ漫画なので，野球ファンでなくても楽しめると思います．ただ，やはり登場する選手を知っていると，面白さ倍増でしょう．また，横浜ファンでなくても，プロ野球ファンの方なら気持ちよく楽しめる内容です．他球団に対する挑発的な内容はありませんし，何より現実のプロ野球とはかけ離れたギャグ漫画ですから．

　本作の魅力は，選手のキャラクターと強烈なギャグでしょう．特に西投手が魅せるシュールなギャグは，管理人のお気に入りです．ただ，管理人は実際の西投手を知りません…　あと，当時私がファンだった大島選手が登場するのも嬉しいです．大島選手，とてもいい人なんですよ！

　それにしても，当時の横浜には素晴らしい選手が多かったのだと実感します．佐々木の活躍はもちろんのこと，斎藤隆もメジャーで一流のクローザーとなり，44歳となった今でもなお現役です．谷繁は中日に移籍し，現在は選手兼任監督としてチームを指揮し，出場試合数は歴代2位の記録です．また，「ハマの番長」三浦はベイスターズ一筋で，40歳を迎えてなお先発投手の柱を務めています（いずれも2014年現在，谷繁は2015年に出場試合数歴代1位に到達）．

　この作品は，万人受けするタイプではないと思います．選手の特徴をとにかく誇張したキャラ付け，ラフなイラスト，現実離れしたギャグの数々は，好みが分かれるところかも知れません．みずしな先生の作品（特に初期）は，読む人を選ぶタイプの作品が多いような気がします．

　ギャグ一色と見られがちな本作ですが，真面目な話も含まれています．特に，「無題」と題した4巻のとある回では，グラウンドにメガホンを投げ込むファンを厳しく非難しています．普段のギャグ全開の回とは全く違う展開に，みずしな先生の強い思いを感じました．

私が選ぶ

ザ・ベスト

5巻10ページ左「腹話術投手」

本作の中でもひときわ異彩を放つ西投手のネタです．西投手が出てくるネタはどれも秀逸．

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