新任教師として母校の高校に着任した白鳥うめ子は，高校時代チアリーディング部に所属していました．しかしそのチア部は数年前に廃部となっていたのです．そこでうめ子は身体能力の高い生徒をスカウトし，チア部を復活させます．新生チア部に入部した生徒たちは全員チア初心者ですが，以前は別のスポーツをしていた人ばかり．しかし彼女たちは，ワケありでスポーツを辞めてしまっていました．例えば本作の主人公格である赤根はこっそり空手を習っていたのですが，女の子らしく育てようとする母親に反対されて辞めさせられています．

　本作では，それぞれクセの強い部員たちが絆を深めながら，チアリーダーとして上達していく過程がじっくりと描かれます．さらに幼なじみ君や新しく入部した唯一の男子部員の恋愛要素もあり，本作はまさに「青春物語」です．

　小池定路先生といえば，「父とヒゲゴリラと私」で有名になった実力派作家です．本作も「ヒゲゴリラ」と同様，真面目で読み応えのある作品になっています．4コマでスポーツ作品というと，スポーツ要素よりも恋愛や萌えがメインの作品が多いです．しかし本作に場合，チア部の練習風景がしっかりと描かれています．これだけでも素晴らしいことですが，さらに部員達の過去や心の暗い部分を少しずつ描き，読者をグイグイと引き込んでいきます．普段は元気でバカな赤根が，家族の話になるともの悲しい顔を見せるところは特に印象的です．

　そんな赤根に惚れている幼なじみの俊也もかわいい奴です．赤根に応援してもらいたくて野球部に入部した彼ですが，入った野球部はお気楽な活動しかしておらず，本気で頑張っている赤根に引け目を感じてしまうのです．赤根と俊也の二人を見ていると本当に愛しいので，どうか幸せになってほしいです．あ～，私にもこんな幼なじみが欲しかったなあ～

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 2巻72ページ左

俊也が赤根に嘘をついて野球の試合に出た話の最後のシーン．球場から出てきた俊也を出迎えてくれる赤根の優しい顔に惚れてしまいそうです．赤根は俊也の前だと，普段見せない表情をするのがたまらないです．