キラキラ☆アキラ

作者:曙はる

巻数:3巻(完結)

出版社:芳文社

掲載誌:まんがタイム

発売日:2008/10/07~2011/4/7

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 内容

 ピュアな幼なじみと,友人たちの青春を描いたラブコメ作品です.

 いつも明るくてクラスの人気者のアキラと料理が得意でポッチャリな桃太郎は,同じマンションに住む幼なじみ.桃太郎の部屋の真上に住んでいるアキラは,ベランダに縄ばしごをかけて桃太郎の部屋に入り込むのが日常です.時には桃太郎のベッドに勝手に入りこむことも.桃太郎はアキラのことが好きなのですが,高校生になっても子供の時と同じように無邪気に接してくるアキラに,桃太郎は平静を装いつつもドキドキしてしまいます.

 アキラと桃太郎のほかに,水泳部の坂口さん,チャラい系の青島,漫研の牧さんがメインキャラとして登場します.青島は過去にアキラに告白するも,アキラに意図をわかってもらえず玉砕しています.そしてその後もアキラを諦めきれずにいます.牧さんは地味なタイプの女の子ですが,陽気なアキラに巻き込まれるようにして友達の輪に加わりました.そして最初は苦手だった青島のことを好きになっていくのです.

 本作は,アキラと桃太郎のアツアツな幼なじみっぷりと,もどかしい恋心がたくさん詰まった作品です.

雑感

 私が読んできた恋愛4コマ漫画の中でも,トップクラスの面白さだと感じた作品です.

 何と言っても光っているのが,表現力です.セリフ,表情,心の声.それらの一つ一つによって,登場人物の気持ちがひしひしと伝わってきます.それは恋心に限ったことではなく,広い意味での愛情や優しさといった気持ちです.本作を読んでいると,登場キャラクター達がとても愛しく感じられます.

 特に私が愛しく思うのは,青島に片思いする牧さんです.牧さんは,青島が自分ではなくアキラを好きだと知っています.そしてアキラがとてもいい人だということも知っていて,自分の気持ちを押さえつけていました.そんな牧さんが勇気を振り絞って青島を遊びに誘うシーンがあるのですが…このシーンには胸が苦しくなりました.

 私が最初にこの作品を読み進めていた時,なにか違和感を感じていました.それは桃太郎に対しての違和感です.というのも,明るく無邪気なアキラが桃太郎のそばに向かってくるのに対し,桃太郎は現状に甘んじて自分から距離を近づけようとはしないのです.そんな桃太郎のことが,私はあまり好きではありませんでした.しかし,本作の最後で桃太郎に対するマイナスイメージを払拭させるエピソードが描かれたのです.どうやら私は,作者にしてやられたようです.

 心温まるエピソードに,ハイレベルの表現力.そして4コマ漫画らしいギャグも兼ね備えた本作は,どこかむんこ先生の作品と似ていると思っていました.実は本作の作者である曙はる先生は,むんこ先生と同じ高校の同級生で,同じ漫研に所属していたそうです.一流の4コマ漫画家を同時に二人も輩出するとは,レベルの高い漫研だったのですね.

私が選ぶ

ザ・ベスト

3巻56ページ右「塞いだことば」

上の「雑感」でも書きましたが,牧さんが青島を遊びに誘うシーンの一本です.苦しくなるほど切なさがこみ上げてきます.

この作品が

好きなら!

らいか・デイズ/むんこ(タイム)